法定代理人のいない未成年者の相続放棄
富山県 M.F様
昨年父が亡くなりました。 M様のお父様が他界したのは昨年。負債があることが発覚したため相続放棄の手続きを検討されましたが、M様はまだ未成年のため自身で申し立てができずご相談にこられました。 M様のご両親はM様が幼い頃に離婚されており、M様はお父様に引き取られなくなる直前までご一緒に生活されておられました。 法律上、M様のように未成年者の相続人は自身で相続放棄の手続きを行うことができません。 2022年4月1日民法改正により、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。
父の遺品を整理していたところ、たくさんの督促状が出てきたため、相続放棄の手続きをすべきと考えましたが、私は未成年のため自身で手続きをすることができません。
そこでどのように手続きを進めればいいか調べていたところ、母親に法定代理人になってもらわないといけないということが分かりました。
しかし、私の母は外国人で日本語がほとんど話せず意思の疎通が難しく、また父とは私が幼い頃に離婚しているため協力が得られませんでした。
私はどうすればいいのでしょうか?ご相談内容
M様は離れて暮らしていたお母様に、相続放棄の手続きについて協力を申し出ましたが、外国人のお母様は日本語の理解が難しく、協力を得ることができませんでした。
お父様が亡くなられてすでに3か月が経過しており、また、お母様以外に頼りにできる大人がいなかったM様は困り果てていらっしゃいました。相続放棄相談センターへ相談された結果
未成年者が相続放棄をするには、未成年者の法定代理人が代理して手続きを行わなければなりません。
法定代理人とは、一般的に未成年者の保護者である親の事を言いますが、親権者がいない場合は未成年後見人を立てる必要があります。
M様の場合、単独親権者であったお父様が亡くなったため、お母様に親権を変更するか未成年後見人を選任するかのどちらかを行い、法定代理人に相続放棄手続きをしてもらう必要がありました。
しかし、お母様から手続きへの協力を得ることができず、親権者を変更しての手続きを選択することはできませんでした。また、法定代理人を選任するとなっても、候補者にお母様を立てることもできず、仮に弁護士や司法書士などの専門職が選任されてしまった場合、報酬が発生しM様の財産から支払われることになってしまいます。
M様としても、見ず知らずの人が自分の後見人として選任されることに違和感があるとのことでしたので、M様が成人したタイミングで自身で相続放棄の手続きを進めてはどうかとご提案させていただきました。
未成年者の相続人の場合、本来であれば法定代理人が相続の開始を知った時から3か月以内に相続放棄の申立てを行う必要があります。しかしながら、今回のケースは、そもそも法定代理人がおりませんので熟慮期間中ですらありません。M様が成人した日をもって改めて熟慮期間が始まりますので、そのタイミングで相続放棄の手続きを行うことが可能となります。
このようにご説明させていただき、ご安心いただくことができました。
相続放棄のお手続きについても、M様の成人のタイミングで申し立てを行い無事に受理してもらうことができました。専門相談員よりアドバイス
これまでは、20歳未満が未成年と定義され自身で相続放棄の手続きを行うことはできませんでしたが、この民法改正により18歳から単独で相続放棄等の法律行為おこなうことが可能となりました。
18歳を迎えた相続人においても、相続放棄の申立ての期限は相続の開始を知った日から3か月以内です。
20歳に満たないからと言って、期限内に手続きを行わなければ自動的に相続したこととなってしまいますのでご注意ください。