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相続放棄の基礎知識

NHKクロ現プラス取材時に伝えた「負動産問題」を本人が改めて解説

NHKクロ現プラス取材時に伝えた「負動産問題」を本人が改めて解説

「負動産」という言葉を聞いたことがあるだろうか?
負動産とは、地方にある古家や山林・農地など、なかなか流通性に乏しく売るに売れない、かつ、管理するための維持費や固定資産税などの税負担など所有している間に一定の金銭的な負担を強いられる不動産の事を一般に言われる。
筆者の事務所では、年間多くの相続放棄に関する相談を受けるが、最近急増しているのが「負動産」の相続に関する相談だ。
その中には、亡くなった故人が叔父叔母など、普段あまり関わりのなかった親族に関するものも多いのが実情だ。
その背景には、生涯独身を貫く人や、子供を持たない夫婦などの増加も起因しているが、何より相続放棄の制度自体の問題がある。
この迷惑な負動産の相続問題については、後日放送予定のNHK「クローズアップ現代+」の取材時にお話をさせていただいていますが、実務の現場から日々感じる様々な相続問題も含め、ここで改めて述べたいと思います。

1.相続人となる範囲と順位

人が亡くなると法律上「相続」がスタートする。
相続においては、一定の身分関係にある者が自動的に相続人となる。
相続人となる範囲には順位が定められており、下記のルールでその相続人が決まる。

配偶者 必ず相続人となる。
第1順位相続人 子供もしくはその代襲相続人(孫等)
第2順位相続人 両親などの直系尊属
第3順位相続人 兄弟姉妹もしくはその代襲相続人(甥・姪)

上記ルールで自動的に相続人となった者は、一定の期間内(通常は故人が亡くなった事を知ってから3ヶ月)に故人の遺産について相続するか放棄するか選択を迫られることになるのが日本の相続のルールだ。


2.借金などのマイナスの財産も相続対象となる

遺産には預貯金や不動産などのプラスの資産のみならず、借金や保証債務などのマイナスの負債も含まれる。
もし、プラスの資産よりも負債などが多い場合は、期間内に家庭裁判所で相続放棄の申立てを行い、受理されればその相続から無関係となり相続問題から解放される。
相続放棄が認められると法律上「最初から相続人ではなかったものとみなされる」ということとなるが、その反面、もし子供などの先順位の相続人全員が相続放棄をするとその相続においては最初から子供がいなかった相続と同様に扱われ、結果として後順位の相続人が当初から相続人であったとみなされてしまうという予期せぬ効果が発生することになるのが日本の法律だ。

先順位相続人全員が相続放棄したことで結果として、故人の親や兄弟姉妹・甥姪が相続人となってしまう
もし、先順位の相続人がその事を理解し、後で相続人となってしまう親族に対して前もって説明をしていたらまだ問題は少ないが、そのことを理解していない相続人も多く、放置した結果として、債権者や役所からの通知などにより知らされるケースも多く、後順位の相続人にとっては突然の相続となってしまうのが実情である。

元々、この制度は次の順位の相続人に相続するか放棄するかの選択権を行使する機会を与えるために設けられたルールであるが、ここに予期せぬ相続に巻き込まれる原因の発端があるのも事実だ。
また、先順位全員が放棄する相続には、後順位にとっても相続するメリットがないケースが大半である。


<参考:相続放棄の手続き方法|申請期限や流れなど詳しく解説

3.突然降りかかる負動産ー亡き叔父名義の築40年マンションを相続した悲劇

 また、突然の負動産や負債の相続に直面し困惑する兄弟姉妹や甥姪の苦悩には、親族の付き合いの希薄化も要因のひとつとなっている。
最近では親族で顔を合わせる機会も減ってきている。
両親の生活や資産状況についてはある程度把握していることも多いかとは思うが、兄弟や叔父叔母などの関係となってしまうとなかなか普段から付き合いがなければ状況を把握することは困難を伴う。
そんな中で、甥姪であるあなたに役所から故人の固定資産税の納付を求める通知が届いたらどう対処しなければならないか?

以前こんな相談があった。

都内に暮らすAさん。家族もあり何不自由なく暮らしている。
ある日突然、Aさんの両親の実家のあるX市より通知が届いた。
通知には、Aさんの叔父にあたるBさんが死亡し、その後子供全員が相続放棄したことによりあなたが相続人となっているということであった。
今後、固定資産税の納付義務はAさんにあるということであった。

Bさんの子供はAさんにとっては従兄弟にあたるが、その中の一人の連絡先を知っていたため連絡をとった。
Aさんの子供がいうには「両親が離婚してからは父親であるBさんとは全く付き合いがなく、遺産があったとしても何もいらない。預貯金も100万程度あり、特に借金もなさそうだが、感情的に引き継ぎたくないので兄弟で話し合って全員で放棄した」という事だった。
Bさんは子供がまだ幼い頃に離婚し、その後一切子供とは付き合いがなかった。
ちなみに、Bさんが残した不動産は、某地方都市にある築40年近いマンションである。Aさんも幼少期に暮らした思い出の街でもある。
Aさんとしては、預貯金もあるし、マンションならば古くても売れるだろうと高を括りひとまず相続することとした。

この判断が間違いであった。
マンションとはいえ、昔の団地のようなもので、5階建ての建物にはエレベーターもなく部屋は最上階であった。
また駅からも遠く不便な場所にあり、利便性に欠けるが、それなりに人口の多い地方都市であり、それでも「多少の価値はあるだろう」とAさんは売却可能性を感じていた。
ところが、いざ売りに出そうと全く売れる見込みもないどころか、地元の不動産業者によると、同様に同じマンションの別の部屋も格安で数軒売りに出されており、何年も売れずに残っているという。
相続した部屋は最上階の5階でエレベーターもないため、特に需要が見込めず、同様に売りに出している同じマンションの3階でも100万円という破格で出しているものがあるにもかかわらず全く売れる気配がないという。
売却は困難であるため、安く賃貸に出すことも検討はしたが、給湯器等の設備の老朽化もひどく、そのためのリフォームには200万円近くかかってしまうとの事だった。
またそこまでしても入居者が現れない可能性もある。
その間にも、マンションの場合は、管理費用と修繕費用の積立金が毎月発生するため、Aさんにとっては八方塞がりの状況だ。

そこで筆者の事務所にやっぱり相続放棄をしたいとの事でご相談に来られたのだが、ここまで来てしまうともはやどうしようもない。
遺産を相続した後に改めて相続放棄をすることは法律上認められていない
今もAさんは30万円というほとんどただ同然の価格で売りに出していますが1年経っても未だ買主は現れていない。
毎年、固定資産税・管理費・修繕積立金等の管理費用だけで数十万かかるマンションの維持費に苦しめられている
間違いの始まりは、あまり深く考えず安易に古いマンションを相続してしまったことである。

4.子や孫が負動産で苦しまないために相続する不動産の価値はきちんと調査

相続放棄は一定期間内(このケースでは自身が相続人になったきっかけとなった役所の通知を受け取ってから3ヶ月)に選択することだけではなく、期間内であっても遺産を受け取ってしまったらもはや放棄することは許されない
もし、ある日突然にあなたが相続人になってしまったら、その遺産の経済的価値の調査はしっかりと行わなくてはならない
もし、期限内にその調査が完了しないということであれば、家庭裁判所に期限の延長を申立てることも可能だ。
借金の相続であればすぐに相続放棄をすることにあまり躊躇しないものであるが、つい不動産などの相続になってしまうとその財産的価値の着目し判断が鈍ってしまう。
不動産が事実上の負債となっている、いわゆる「負動産」であるか否かの判断を間違い相続してしまうともはや容易に手放すことはできず、場合によっては次の相続の際に次世代の子供たちに負担を押しつけてしまうことにもなりかねない。
現代は、負債は借金や保証債務のみならず不動産などの一定の資産においても事実上の負債となってしまうことがあり得ることの認識が必要である。
残念ながら不動産は法律上あくまで資産であり、負債だと考えて法制度は整備されていない。
今後、所有権放棄など、一定の資産を所有者が直接放棄できる制度の導入も政府によって検討されているが、不動産の放棄には、行政側の管理費用の増大や固定資産税などの地方行政にとっては大きな税収の減収にも関わって来るため、その運用は限定的なものになることが想定される。
したがって、相続の際には、不動産の資産価値の「棚卸し」が極めて重要であり、それは早ければ早いほうがいいのが地方の不動産の実情だ。

「手放せる時に手放す」

不動産相続においてはシンプルでありながら極めて重要な考え方となる。


《参考:相続放棄の基礎知識:不動産(土地・空き家)は相続放棄できるのか?➜ 》

《参考:お客様の声(112):祖父母名義の空き家の通知が届き、困って相談しました➜ 》

《参考:お客様の声(116):名義変更していない不動産の相続放棄が解決できました➜ 》


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この記事を書いた人
しいば もとふみ
椎葉基史

司法書士法人ABC 代表司法書士

司法書士(大阪司法書士会 第5096号、簡裁訴訟代理関係業務認定第612080号)
家族信託専門士 司法書士法人ABC代表社員
NPO法人相続アドバイザー協議会理事
株式会社アスクエスト代表取締役
株式会社負動産相談センター取締役

熊本県人吉市出身、熊本高校卒業。
大手司法書士法人で修行後、平成20年大阪市内で司法書士事務所(現 司法書士法人ABC)を開業。
負債相続の専門家が、量においても質においても完全に不足している状況に対し、「切実に困っている人たちにとってのセーフティネットとなるべき」と考え、平成23年に相続放棄専門の窓口「相続放棄相談センター」を立ち上げる。年々相談は増加しており、債務相続をめぐる問題の専門事務所として、年間1400件を超える相談を受ける。
業界でも取扱いの少ない相続の限定承認手続きにも積極的に取り組み、年間40件程度と圧倒的な取り組み実績を持つ。

【 TV(NHK・テレビ朝日・フジテレビ・関西テレビ・毎日放送)・ラジオ・経済紙等メディア出演多数 】
 ■書籍  『身内が亡くなってからでは遅い「相続放棄」が分かる本』(ポプラ社)
 ■DVD 『知っておくべき負債相続と生命保険活用術』(㈱セールス手帖社保険 FPS研究所)

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